熊本県へ研修に行ってきました
畳への見聞をより一層深めるために熊本県へ二泊三日の研修に行ってきました。
イ草農家さんや問屋さん、地元の畳店さんへ訪問させて頂きました。
お昼頃、阿蘇くまもと空港に到着後レンタカーで早速八代市へ


↑2月時点でのイ草の生育状態です。
関西ではなかなかお目にかかることの少ないイ草の田んぼがたくさんありましたが、昔と比べるとかなり減ってしまっていると聞き、畳を取り扱いさせて頂いている身として悲しい気持ちになりました。。
広がる田園を横目に運転しながらイ草農家さんの工場へ

到着すると織機で畳表の製造をされていらっしゃるところでした。
織機と書いて‘しょっき‘と読みます(今ブログを書きながら知りました)
ずっと見ていられる動画がありますがそれと同様の感覚
イ草が織り込まれていくところを吸い込まれるように延々と眺めていました。

選別作業の様子
折れているイ草等を織機にかける前に間引きされております。
初日はイ草農家さんに数件訪問させて頂きました。
50件ほどある集落の3分の2以上がイ草農家をしていたところも今は3件、残っているところもいつまで続けられるかわからないというお話しを聞き、昨今の和室のない洋風の建築様式に日本の伝統文化が失われていっていることを痛感しました。
畳がなくなることはないと思われますが少なくなっていることは間違いありません。新築に日本家屋のような四間取りの和室は見受けられないですし、二部屋和室があると多いかなといった印象です。国産イ草だけではなく中国産イ草もあり、近年では和紙や樹脂の畳表もあります。
今回の研修では刈取後の製造をされているところを見学させて頂きましたが苗分けからはじまり製造まで、大変な労力と月日をかけた畳表一枚あたりの金額が非常に安価だと感じます。。
この投稿をみてくださった方々がお一人、一件、一部屋でも多く国産イ草で畳替えをしてくださると幸いです。
さて、二日目は問屋さん、農家さんと畳店さんに訪問させて頂きました


イ草の加工製品もコースターやタペストリー等たくさんのお取り扱いをされておりました。
イベント等で使用するイ草プール、ミニ畳を作るワークショップセットなどもありました。
なんといっても初見のインパクト、目に飛び込んできたのがこちら

なんじゃこりゃ
イ草を特殊に織り込む技術をお持ちで虎以外にも龍やお花、市松等様々な種類がありました。
もちろん国産イ草を使用されております。
デザイン畳・畳革命 で検索するとでてきますので、ご興味がある方は是非
和室のうち二枚だけいれたりするとこれまたメリハリのあるお部屋に仕上がります。
問屋さんには農家さんから仕入れされた様々なランク、品種の畳表がありました。
同じ品種で同じ田んぼの中でも内側と外側で生育したものかの違いで品質が変わるそうです。
目の肥えた問屋さん、弊社社長の会話に圧倒されながら終始畳表の目利きの勉強をしていました。その場で数点畳表を購入していく弊社社長、、バイヤー姿かっこいい。
イ草然り畳は奥が深い、、まだまだ勉強不足。引き続き日々アップデートが必要です
二日目の農家さんでお見かけしたものがこちら


畳表には丈方向と巾方向というものがありますが、イ草の背丈が畳表の巾方向なので大きさに限界があります。丈方向はイ草の織り込みを増やせば大きくできるのですがこれはかなり長いイ草が使用されております。
少し写真ではお伝えしずらいのですが右の写真右側にある畳表と比べると分かりやすいかなと。。
実はイ草は川辺等で野草として自生しているのですが、その中に長く育つ品種が見つかりそれを交配させたものだそうです。
イ草は植物なので言わずもがな根っこと葉先の部分で太さも違い、色も違います。


写真左は根っこに近い部分、写真右は真ん中付近です。
交互に編み込みされているので畳表として見た場合は真ん中付近が細く見えます。

こうしてみると根っこと葉先の色の違いがかなり明白になります。
イ草の長さが長いものを小さい畳に使用すると根白と呼ばれるこの根本付近のイ草を落として畳表を使用できるので、まったくなくなるというのは難しいですが太さのバラつきや根白は気になりにくくなります。品種にもよるのですが、、
当店では涼風やひのはるか等の実入りのしっかりとした、長い期間綺麗にご使用して頂ける品種を主にお取り扱いしております。
実の詰まり方の良いイ草は実入りの少ないイ草と比べて傷みにくいためです。日焼け後も見た目が綺麗です。
同じ品種でも同じ生産農家さんでも一年、数年、数十年を通してまったく同じ品質にはならないのが天然表である商品が故にですね。。
簡単に一括りにすることもできますが専門店ですのでもっと豊富な知識をつけてお客様にお力添えできるよう精進してまいります。
見学の合間に昼食に立ち寄った定食屋さんには

これまた立派なイ草で拵えたしめ縄がありました。
さすが熊本、さすが八代。。国内最大のイ草産地の本領です。
定食もかなり美味でした。ごちそうさまでした。
最後に熊本市内に移動して交流のある畳店さんへお邪魔しました。
ショールームを拝見して畳やヘリのサンプル、ヘリで作成したティッシュケースやバッグ、ポーチ等様々な商品を見させて頂きました。
くまもんのティッシュケースはクラフトコンテストで入賞作品として選出されていらっしゃいます。
他の畳店さんがどのようなことをされているのかお話しを聞かせて頂く機会はあまりないので貴重な経験となりました。
↓こちらのリンクからご確認いただけます
熊本市、上益城郡、 宇土市、宇城市、八代市の畳店 | たたみ工房福島

今回熊本に研修に行く機会を頂いてはじめて知ったことがたくさんありました。
どのように畳表が織られているのか、日々業務に取り組む中で知ってはいたけれど見えていなかった部分を学ぶことができました。
畳表も一部屋単位で見ていると品質がわかりずらいところもありますが様々な品種、ランクのものを並べると一目瞭然の違いがあります。
競合他社となる畳店さんともこのような交流から良いところを吸収することができます。
イ草を生産されている農家さんは熱い思いをもってお仕事してくださっています。
この思いをお客様へと紡いでいけるようにしなければならないと、より一層感じました。
おうちにある畳、どうしたら良いのかわからない。そういった方もたくさんいらっしゃると思います。
是非当店へお任せください。お問い合わせお待ちしております。